相続放棄をした場合の固定資産税の支払い

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2023年08月02日

1 相続放棄の効果

 結論としては、被相続人が固定資産税の支払義務を負っていたとしても、相続放棄をすれば支払義務を免れることができます。

 これには、相続放棄の効果が関係しています。

 相続放棄は、はじめから被相続人の相続人ではなかったことになる、という効果があります。

 その結果、被相続人の財産を取得することは一切できなくなりますが、債務も一切負担することがなくなります。

 ある相続人が相続放棄をすると、同順位の相続人がいない場合、次の順位の相続人に相続権が移ります。

2 相続人に固定資産税の請求がなされるパターン

 もっとも基本的なパターンとしては、親が不動産を所有しており、固定資産税を支払わないまま死亡したというものが挙げられます。

 この場合、相続放棄をすると、不動産を取得することはできませんが、固定資産税を支払う必要もなくなります。

 なお、すでに被相続人が不動産を所有しておらず、固定資産税の支払のみしていなかった場合も、相続放棄をした場合、固定資産税の支払いを免れることができます。

 実務上、時折見かけるケースとしては、固定資産税の支払いをしていなかった遠い親戚が亡くなり、数次相続や代襲相続を経て、相続人となっていたというものです。

 複雑な相続関係が発生していますので、自治体による調査にも時間がかかることが多く、実際に固定資産税の請求が来た段階では、被相続人死亡から長期間が経過していることもあります。

 この場合、突然請求を受けた相続人からすると、背景事情がよくわからないことがあります。

 そのため、固定資産税を支払ってしまう前に、請求元の自治体に連絡を取り、どのような理由でご自身に請求をしたのかを、確認するべきです。

 その結果、相続人として請求されていることが判明した場合には、固定資産税を支払わずに相続放棄をするという選択をするのが得策です。

 固定資産税の支払を免れるだけでなく、被相続人が他にも債務を有している可能性がありますので、潜在的なもの含めすべての債務の支払を免れることができます。

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