被相続人と賃貸で同居していた場合の相続放棄

文責:所長 弁護士 白方太郎

最終更新日:2023年06月20日

1 被相続人と賃貸住宅で暮らしていた場合

 被相続人と一緒に賃貸住宅にお住まいであった場合であっても、賃借人の名義が被相続人でない場合は問題ありません。

 しかし、賃借人の名義が被相続人であった場合、相続放棄との関係では慎重な対応が必要になります。

 被相続人と同居していた相続人が、賃貸住宅に住み続ける場合、賃貸人名義を同居人に変更する必要があります。

 その際、被相続人の賃貸借契約を、相続人として合意解除してしまうと、相続財産の処分に該当してしまう可能性が残ります。

 賃借権は相続財産である上に、一般的には価値の高い権利とされるためです。

 そのため、形式的には一度賃貸人から一方的に解除してもらい、その後で(元)相続人が改めて賃貸借契約をし直すといった工夫をすることが考えられます。

2 公営住宅の場合

 (厳密には公営住宅法上の)公営住宅で被相続人と同居していた場合、相続放棄との関係では、上述の通常の賃貸住宅とは扱いが変わってきます。

 公営住宅に居住する権利は、賃借権とは異なり、一身専属権的な権利とされています。

 公営住宅に居住することができる人は、収入が一定額以下であるなどの要件を満たさなければならないためです。

 つまり、その人の属性に応じて居住できるか否かが決まるため、当然に相続人が相続できる権利とはならないのです。

 そのため、公営住宅への居住権は相続財産にはなりません。

 そして、公営住宅は、同居していた配偶者等に限り、申出により居住を継続することができます。

 これは、あくまでも配偶者等の固有の権利に基づいて居住を継続することになるため、被相続人の居住権を相続することとは異なります。

 そのため、必要な手続きをしたのであれば、公営住宅への居住を継続しても、法定単純承認事由に該当する行為には該当せず、相続放棄が認められなくなることはないと考えることができます。

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