相続放棄ができないケース

文責:所長 弁護士 白方 太郎

最終更新日:2024年11月13日

1 相続放棄は必ずできるというものではない

 相続放棄は、被相続人死亡により相続が開始された際、亡くなった方が債務超過の状態に陥っていたなど、何らかの理由で相続をしたくない場合に、相続人が単独で行うことができる手続きです。

 もっとも、相続放棄はどのような場合においてもできるというものではありません。

 法定単純承認事由がある場合には、相続する意思があるものとされて、相続放棄はできなくなります。

 以下、代表的な法定単純承認事由について説明します。

2 熟慮期間の渡過

 相続の開始を知った日から3か月間を経過してしまうと、相続放棄はできなくなります。

 この3か月間の期間のことを「熟慮期間」といいます。

 相続の開始を知った日とは、原則として、被相続人が死亡したこと及び、自身が被相続人の相続人であることを知った日をいいます。

 例外として、被相続人の死亡及び自身が相続人であることを知ってから3か月以上経過してしまった後で、被相続人の債務の存在を知った場合、債務の存在を知った日をもって相続の開始を知った日と扱われることがあります。

 この場合であっても、債務の存在を知った日からさらに3か月が経過してしまうと、相続放棄はできなくなります。

3 処分行為

 相続財産の売却換価、費消、損壊等は処分行為とされます。

処分行為を行ってしまうと、相続放棄ができなくなります。

 売却換価として一般的なものは、被相続人の不動産や自動車を売却することがあります。

 貴金属などの高価な動産を売却することも同様です。

 費消として代表的なものは、現金、預貯金を、自身のために使用することです。

 例外として、被相続人の葬儀費用に充てた場合は、その金額が社会通念上相当であれば、処分にあたらないとされます。

 損壊に該当するものとしては、被相続人が所有していた建物の取壊しがあります。

 このほか、遺産分割協議や、債権の取立てなども処分行為とされます。

 被相続人が日常使用していた衣類、家財道具等(残置物)の廃棄については、判断が難しいケースがあります。

 原則的には、残置物も被相続人の所有物であった以上、これらを廃棄することは処分行為に該当すると考えられます。

 もっとも、残置物の中は、売却価値はなく、むしろ処分費用が必要なものも多く含まれます。

 財産的価値が無い、いわゆるゴミにあたるものは、実務上はそもそも相続財産に該当しないと解釈するケースも多くあります。

 相続放棄をする場合の家の片付け残置物も含めた遺品の扱いについては、こちらの記事もご覧ください。

 しかし、残置物の処分に際しては慎重な判断が求められるため、遺品を捨ててもいいか迷った時は、弁護士にご相談ください。

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