相続放棄の理由・動機に関するQ&A
相続放棄の理由・動機に関するQ&A
Q生前贈与を受けているので相続をしたくないのですが?
A
相続放棄の理由に制限はなく、生前贈与を受けているという理由で相続放棄をすることもできます。
相続放棄をすることで、法的に相続人ではなくなりますので、相続財産を他の相続人へ割り振ることができます。
このようにすることで、他の相続人との間の軋轢の発生を予防することができます。
また、相続放棄をすることで相続債務を免れることができます。
そのため、被相続人がプラスの財産と負債の両方を有していた場合、生前にある程度の財産を贈与し、被相続人死亡後に相続放棄をするというケースもまれにあります。
もっとも、このような場合は、生前の贈与が詐害行為取消権の行使の対象になることもあり、後日債権者との間で法的な争いに発展する可能性もありますので注意が必要です。
Q仲の悪い家族と関わりたくないのですが?
A
諸々の事情により、家族と疎遠になってしまったり、仲たがいをしてコンタクトを取ることが困難になってしまったという方も多々いらっしゃいます。
他の相続人と関わりたくないという理由であっても、相続放棄はできます。
そして、相続放棄は各相続人が単独で行うことができますので、他の相続人の同意等は不要です。
もっとも、相続放棄をした場合であっても、自動的にほかの相続人に対して相続放棄賀なされた旨の連絡が行くということはありません。
そのため、可能であれば、相続放棄をしたことについて、ご一報してあげた方がよいでしょう。
そうすることで、他の相続人からすれば、相続放棄をした人を除外して遺産分割協議を進めることができます。
Q地元に残っている相続人に相続財産を集中させたいのですが?
A
地方にお住まいで大半の相続人が大都市圏へ移動してしまったような場合や、文化・風習等により特定の相続人へ相続財産を集約させるという場合においても、相続放棄を使うことができます。
相続放棄は、各相続人が単独で裁判所に対して行うことができる手続ですので、相続人同士が一堂に会して行う必要もありません。
また、相続放棄の利点は、被相続人の負債についても、特定の相続人に集約することができることです。
通常の遺産分割協議の場合、仮に特定の相続人が相続債務を負担すると記載したとしても、債権者との関係においては効力がありません。
債権者も交えて相続債務を特定の相続人に集約させるのであれば、免責的債務引受契約というものを別途締結する必要があります。
免責的債務引受には債権者の同意が必要ですので、必ずしも同意が得られるとは限りません。
これに対し、相続放棄は債権者の事情とは関係なく行えますので、相続人側の意思だけで債務を集約することができます。